
初任者の頃の体育祭。
学年で5クラス。
選抜リレーで、私のクラスは2位でした。
1位を走っていたアンカーが、ゴール直前で転んだんです。
私のクラスのアンカーは、その少し後ろ。
驚いた彼は、転んだ子を避けて走りました。
その間に、3位だったクラスが転んだ子を飛び越して、最短距離を走り、1位になりました。
悔しかった・・・
でも、クラスのみんなの前で、そのアンカーを褒めました。
正直、負け惜しみだったと思います。
「勝つことより、怪我をさせないことを選んだんや。
その優しさがあったから、この2位には価値がある」って。
クラスのみんなが、
「さすが!」
と、その子を褒めました。
無口なその子は、はにかんで、ニコッと笑いました。
総合結果も2位。
でも、みんな満足そうでした。
帰りの会が終わったあと、優勝したクラスの子が、
「やっぱり優勝はウチのクラスやったな!」
と言いに来ました。
すると、うちのクラスの子が、
「あんな!
ウチのクラスは優しいんや!
あんたのクラスと一緒にせんといて!」
と言い返しました。
私は、思わず笑ってしまいました。
そのクラスは、相変わらず騒がしくて、勉強も苦手で、元気いっぱいでした。
でも、誰かの悪口を聞いた記憶がありません。
そういえば、勉強がまるっきり苦手だった男子が、卒業式の日に手作りのクリスマスツリーをくれました。
紙でできた、小さなツリー。
ものすごく上手で、私は驚きました。
引っ越しのときに壊れてしまって、もう手元にはありません。
でも、なぜか今でも覚えています。
あの頃の私は、何をやっても1番になれませんでした。
行事も、教科の得点も。
ベテランの先生たちは、そんなに必死にしているようには見えない。
「何が違うんだろう」
そう悩みながら、私はとにかく時間をかけるしかありませんでした。
そして、何年も経ったある体育祭。
選抜リレーの直前、男子が不安そうに私のところへ来ました。
「先生、どうしよう。最下位かもしれん」
私は、とっさに言いました。
「お前らでダメなら、仕方がない」
その子はしばらくキョトンとして、
「……そうやな。
わしらでアカンかったら、仕方ないよね」
そう言って、仲間のところへ走っていきました。
「俺らでダメだったら仕方ないやんか!」
と、笑顔で。
結果は、リレー3位。
そして、総合優勝。
しかも、ダントツで。
25年も前のことなのに。
なぜか今日、思い出しました。