
「ARIKATA JAPAN」には経営指針書というものがあります。毎年更新しているのですが、
今日はその一部。今年の私の思いを書いた部分をお知らせします。初公開です。
少し長いのですがお読みいただけたら嬉しいです。
― 自分をあきらめない灯りを、人から人へ ―
私には、人生を通して大切にしている言葉があります。
「自分をあきらめない」
私にとってそれは、単に「頑張り続ける」という意味ではありません。
今の自分だけを見て、自分の未来を決めつけないこと。
まだ見えていない未来の自分を信じることです。
この言葉は、私自身が人生の中で一度、自分をあきらめそうになった経験から生まれました。
私は、これまでの人生で、何度も自分をあきらめそうになりました。
その中でも、忘れることのできない出来事があります。
交通事故です。
当時、私はまだ若く、事故によって自分の教員人生が終わったと本気で思いました。
生徒たちに申し訳ない。
両親に申し訳ない。
そして、私を信じてくださっていた校長先生に申し訳ない。
どこかに消えてしまいたい。
そんな思いを必死で打ち消していました。
けれど、そのときの私を見守り、未来の私を信じ続けてくださった校長先生がいました。
私は、その方から何か特別な能力を与えてもらったわけではありません。
「未来の自分を信じてもらう」という経験が、私の心の支えになりました。
そして私は、その後の人生を通して、少しずつ気づいていきました。
人は、能力があるから変われるのではない。
自分をあきらめなかったから、変われることがある。
私が受け取ったものは、自己信頼というバトンだったのだと思います。
だから今度は、自分が誰かにそのバトンを渡していきたい。
そう思うようになりました。
何度も失敗しました
もちろん、私の人生は順風満帆だったわけではありません。
失敗だらけです。
その中でも、私の生き方を大きく変えたのが、学校で起きた「ガラス事件」でした。
初めて生徒指導主事を任され、担任を持ち、野球部の監督も務める。
しかも学校は荒れていました。
前任者のようにやろうとしても、自分と前任者ではキャラクターが違う。
学校はなかなか落ち着かず、いじめによって転校する生徒まで出ました。
そんな中、学校のガラスが57枚割られました。
その第一発見者が私でした。
途方に暮れながらも何とか片付けようとしましたが、手から血が流れ、時間もなくなり、私は全校生徒を体育館に集めました。
そこで、ある3年生の女子生徒から言われた言葉があります。
「先生、もう頑張らなくてもいいです。この学校は、お父さんの時も、おじいちゃんの時も悪かった。何も変わってない。だから自分のことだけ考えて進学に専念します。先生も無駄な努力はしなくていい。」
その言葉は、胸に突き刺さりました。
でも私は、
「わかった……でも、やっぱりわしはあきらめられない。だから見ていてほしい。そして、もし協力してくれそうなことがあったら、そのときは頼む。」
と答えました。
全校生徒の前で交わした約束でした。
そこから私は変わりました。
「頑張っているつもりの自分」から、
「必死になる自分」へ。
先生方とも本気でぶつかりました。
生徒と本気で向き合いました。
自分自身も空き時間のほとんどを校内巡視に使い、生徒と対話しました。
そして、少しずつ学校が変わっていきました。
私はその経験から、もう一つ大切なことを学びました。
人は、変わりたいと思ったときから変われる。
短い時間だけを見れば、変化は見えないことがあります。
でも、未来まで決めつけてはいけない。
あのときの生徒も、
「俺も変われるかもしれん」
と思ったときから、大きく変わっていきました。
今では父親となり、仕事に頑張っています。
私はそこで、「人生は更新できる」 という感覚を得ました。
過去そのものを変えることはできない。
でも、過去に新しい意味を与えることはできる。
だから私は、人の「今」だけを見て、その人の「未来」を決めつけないことを大切にしています。
校長として学んだこと
校長として学校づくりを進める中で、全校生徒の自己肯定感が63%から94%へ上昇しました。
学校として文部科学大臣表彰もいただきました。
けれど、私にとって本当に大切だったのは、その数字や表彰そのものではありません。
人の自信は、誰かと比較して「あなたは優秀だ」と認められることだけでは生まれない。
自分自身の中に、成長した実感や達成感を見つけること。
「昨日の自分より、少しできた。」
「自分も変われるかもしれない。」
そんな実感が、自分への信頼につながっていく。
私は、そう信じています。
だから私は、誰かに「こう生きれば幸せだ」と答えを与えたいわけではありません。
その人自身が、自分にとっての答えを見つけることを応援したい。
過去を消すのではなく、抱きしめる
私自身も、過去にたくさんの後悔があります。
恥ずかしかったこと。
苦しかったこと。
誰かを傷つけてしまったこと。
自分を責め続けたこと。
でも、今は思います。
過去を「許す」というだけでは、どこかに失敗した自分がそのまま残っているように感じます。
私が大切にしたいのは、
過去を許すことではなく、過去を意味あることとして抱きしめること。
そこには、後悔も、悩みも、恥も、感謝もあります。
そして、苦しみの中で感じた、ほんの小さな光もあります。
そのすべてを抱きしめる。
そうすることで、過去は「消したいもの」ではなくなり、
誇りある未来をつくるための、自分だけの物語になっていく。
私は、そんな生き方をしたいと思っています。
94%になったとき、私は「やっぱり」と思った
校長として学校づくりに取り組んだとき、全校生徒の自己肯定感は63%から94%へと変化しました。
でも、94%という数字を見たとき、私の中にあったのは「やった!」という気持ちだけではありませんでした。
むしろ、「やっぱり」でした。
勉強ができることでもない。誰かより優れていることでもない。
人の自信を育てるのは、
自分自身の中で「できた」「成長した」と感じられること。
私は、ずっとそう思っていました。
その信念が、目の前の子どもたちによって確かめられた瞬間でした。
私は、「信じる」ことを大切にします
私は、
「信じることで現実になる。」そんな感覚を持っています。
もちろん、未来が必ず自分の思い通りになるという意味ではありません。
根拠がなくても、「自分の未来には、まだ可能性がある」と信じる。
その信じる力があるからこそ、目の前の出来事に気づくことができる。
嬉しいことがあれば、その喜びを味わえる。
悲しい出来事があれば、「この出来事には、どんな意味があるのだろう」と、その意味を探すことができる。
だから私は、人の未来を信じます。
今の姿だけを見て、その人の未来を決めつけません。
今は自分を信じられない人の未来も信じます。
自分の人生を、自分で選ぶ
退職後、私は教育委員会からの再任用という道を選びませんでした。
もちろん、収入面では不安がありました。
これまで積み重ねてきた経験を生かせる道を手放すことに、「もったいない」という気持ちもありました。
再任用という働き方を選ぶことも、その人にとって大切な一つの生き方だと思います。
ただ、私自身には、どうしても譲れない思いがありました。
「残りの人生を、自分にしかできないことに使いたい。」
これまでの経験を生かして、組織の中で求められる役割を果たすことも、一つの大切な生き方です。
けれど、私自身は、誰かと同じように生きるのではなく、
「山田匠だからこそできること」
に人生の貴重な時間を使いたいと思いました。
「私じゃなくてもできることに、私の人生の貴重な時間を使うのではなく、山田匠だからこそできることに時間を使いたい。」
そう決めました。
これは、誰かの生き方を否定するためではありません。
私自身が、自分の人生に責任を持ち、「私はこう生きたい」と決めたからです。
その決断が、ARIKATA JAPANの始まりになりました。
ARIKATA JAPANを始めた理由
私は、誰かに「成功する方法」を教えるためにARIKATA JAPANを始めたのではありません。
やり方ではなく、人としての在り方にこだわりたい。
テクニックではなく、
「自分は、どう在りたいのか」
を一緒に考えたい。
ARIKATA JAPANが出会いたいのは、
迷っている人。
そして、
自分が迷っていることにすら気づいていない人。
誰かの価値観を、自分の人生だと思って生きようとしている人。
そんな人が、一度立ち止まり、
「私は、本当はどう生きたいんだろう?」
と自分自身に問いかける。
そして、
「自分のことが好きになれた。」
「自分のこと、いいなと思えた。」
「自分の未来にワクワクする。」
そんな感覚を取り戻していく。
その先に、
「自分のことが愛おしく思えました。」
と言える瞬間が生まれたら、私は何より嬉しく思います。
何かができるから価値があるのではなく、
「あなたが、あなたとして存在していることそのものを喜べる」
そんな人生を提案したい。それが、ARIKATA JAPANです。
私がともしたい「灯り」
私自身、人生の途中で何度も自分をあきらめそうになりました。
そのたびに、誰かが私の未来を信じてくれました。
振り返れば、私はその人たちから、
「自分をあきらめない灯り」
を受け取ってきたのだと思います。
だから今度は、私が誰かの心に灯りをともしたい。
ただし、その灯りを私だけのものにはしたくありません。
私から灯りを受け取った人が、今度は誰かの未来を信じる。
その人から、また別の人へ灯りが渡っていく。
そんな循環をつくりたい。
それが、
「だいじょうぶ!笑顔でつなぐ おうえんだん」
という、私の生き方であり、ARIKATA JAPANの原点です。
私がつくりたい未来
10年後、ARIKATA JAPANと出会った人の中から、
1万人の人に、
「自分のことが愛おしく思えました。」
「自分のこと、いいなと思えるようになりました。」
「自分の未来にワクワクしています。」
そんな言葉を聞けたら、私は本当に嬉しい。
もちろん、1万人という数字そのものが目的ではありません。
数字が理念のために存在する。
数字のために理念が存在するのではありません。
1万人という数字は、
「自分をあきらめない灯り」がどれだけ社会に届いたのかを確かめるための、一つのものさしです。
そして、その1万人が、今度は誰かの「おうえんだん」になっていく。
大切な人に、
「大好きだよ。」
「尊敬してる。」
「あなたは、かけがえのない人だよ。」
と伝えられる人が増えていく。
私は、そんな世界をつくりたい。
私自身も、おうえんだんの一員であり続ける
10年後、ARIKATA JAPANが私なしでは成り立たない状態にはしたくありません。
むしろ、
「私なんかいなくても、灯りがつながっている。」
そんな状態が理想です。
私が中心にいる必要はありません。
「おうえんだん」の仲間たちが、それぞれの場所で誰かを応援している。
私自身も、その輪の中の一人として、
同じ空気を吸い、
同じオーラを発し、
誰かの喜びを自分の喜びとして喜んでいたい。
そして、私自身も変わらず、自分の灯りを探し続けたい。
過去の自分を迎えに行きながら、これからも自分自身の人生を歩み続けたい。
パートナーとなってくださる皆様へ
ARIKATA JAPANは、私一人ではつくれません。
講演を依頼してくださる方。セミナーに参加してくださる方。応援してくださる方。
ともに未来をつくってくださる方。私にとってのパートナーは、そんな皆さんです。
私は、皆さんに対して一つだけ、絶対に裏切らないことを約束します。
本音で向き合うことです。
私は、自分の過去を隠しません。
失敗も、後悔も、恥ずかしかったことも、そこから得た学びも、私の思想も、できる限りそのまま提供します。
そして、皆さんを信頼します。
今の姿だけを見て判断するのではなく、
今ではなくても、その人の未来を信頼します。
私がかつて校長先生からいただいたものを、今度は私が皆さんに渡していきたい。
それが私の約束です。
そして、いつか
10年後、誰かが私のところに来て、
「匠さん、自分のことが愛おしく思えました。」
と言ってくれたとします。
私はきっと、その人の話を聞きながら、笑っていると思います。
そして、その人が帰ったあと、一人で空を見上げる。
そして、過去の自分に向かって、
「ありがとうって言われたっす。」
と呟く。
あの日、未来を信じてくれた校長先生にも、
「ちゃんとバトン、渡せたっすよ。」
と伝えたい。
そのとき私は、過去の自分をもう一度、強く抱きしめられるような気がします。
私は、まだ途中にいる
私は、この生き方を完成させた人間ではありません。
今も、迷います。失敗もします。自信を失うこともあります。
それでも、自分をあきらめない。自分の未来を信じる。
そして、起きた出来事に意味を見つけながら、また一歩前へ進む。
私はこれからも、そうやって生きていきたいと思います。
だからこそ、誰かに「こう生きればいい」と答えを与えるのではなく、
その人自身が「私はどう在りたいのか」を見つけるために、ともに問い続けたい。
最後に
私は、特別な人間ではありません。失敗もたくさんしました。迷いました。
自信を失ったこともあります。
それでも、ここまで来ることができました。
だからこそ、私は言えます。
能力ではありません。
脳力でもありません。
ただ、あきらめなかっただけです。
そして今度は、私が受け取った「自己信頼」というバトンを、次の人へ渡していきたい。
一人でも多くの人の心に、
「自分をあきらめない」灯りをともす。
その灯りが、また誰かの灯りになる。
そして、いつかその人が、「ありがとう」を誰かに伝える。
そんな小さな循環を、私は生涯かけてつくっていきたい。
過去を消すのではない。過去を許して終わるのでもない。
過去を意味あることとして抱きしめる。
そして、そのすべてを力に変えて、
誇りある未来を、自分自身の手で実現する。
それが、私の生き方です。
だから私は、ARIKATA JAPANを大きくすることだけを目指しません。
一人でも多くの人の心に、「自分をあきらめない」灯りをともしたい。
そして、その灯りが人から人へ渡っていく世界をつくりたい。
そのために、私は今日も問い続けます。
「私は、どう在りたいのか。」
そして、
「あなたは、どう在りたいのか。」
その答えを、ともに探していきます。
**だいじょうぶ!
笑顔でつなぐ おうえんだん。**
これが、私がこの人生をかけて大切にしたい生き方であり、
ARIKATA JAPANが社会に存在する理由です。
ARIKATA JAPAN代表 山田 匠