私は1人でここまで来たと思っていました

退職後、教育委員会で働かないかというお話をいただきました。

本当にありがたいお話でした。

これまで私を理解し、支えてくださった教育長。
そして、声をかけてくださった町長。

私を信頼してくださったことが、何より嬉しかったです。

だからこそ、決断することは簡単ではありませんでした。

収入への不安がなかったと言えば嘘になります。

でも、それ以上に大きかったのは、

「応援してくださった方々の期待を裏切るのではないか」

という思いでした。

教育界への恩。

町長への恩。

これまで出会ってきた多くの方への恩。

何度も何度も考えました。

それでも最後に、自分自身へ問いかけました。

「残された人生の時間を、何に使いたいのか。」

そこで出た答えは、

「私でなくてもできることではなく、私だからできることに時間を使いたい」

というものでした。

私は、安定を否定したかったわけではありません。

安定を選ぶ人生も、その人にとって大切な人生の選択だと思います。

ただ、私は山田匠という一人の人間を、最後まで使い切りたいと思いました。

でも……

今振り返ると、私は一つ大きな勘違いをしていました。

私は、自分の力でここまで歩いてきたと思っていたのです。

誰よりも努力しなければいけない。

人に迷惑をかけてはいけない。

自分一人で頑張らなければいけない。

そんな思いを、長い間抱えていました。

でも、本当は違いました。

私は、たくさんの人に磨いていただき、支えていただき、ここまで来ることができました。

失敗した時に向き合ってくれた人。

間違いに気づかせてくれた人。

何も言わずにそばにいてくれた人。

そして、今も応援してくださる人。

私は、とてもついている人間だと思います。

教育委員会を辞退すると妻に伝えた時、返ってきた言葉は、

「そうなんだ。」

でした。

最初は、あまりにもあっさりしていて驚きました。

でも今になって分かります。

妻は、私が何度も考えた上で決断する人間だと知っていた。

だから、信じてくれていたのだと思います。

私は、一人で歩いてきたつもりでした。

でも、違いました。

たくさんの人に支えられながら、今の私があります。

そして、これは私だけではないと思います。

この文章を読んでくださっているあなたも、きっと誰かに支えられ、誰かに磨かれながら、ここまで歩いてきたのではないでしょうか。

もし今、苦しいことがあったとしても。

もし自分を信じられない時があったとしても。

あなたの人生は、まだ途中です。

出会った人との関わりの中で、過去の意味は変えていけます。

どうか、自分をあきらめないでください。